かつては数百倍というレバレッジで取引できたFXですが、今では証拠金の25倍までという規制ができてしまい、損失が発生する額・スピードが下がる一方で、予想通りに相場が動いた際の利益の額も少なくなってしまいました(個人口座の場合)。
そこで一つの抜け道が法人口座を利用することで、法人口座を使用すれば国内のFX業者でも個人以上のレバレッジ比率で取引することが可能です。
法人設立など少し手間がかかりますが、法人口座をお持ちの方は、個人口座と比較してスピード感のある取引を実施していることかと思います。
一方で法人を設立した以上、FXの取引についても仕訳を理解して記帳を行い、最終的に確定申告のために決算書を作成しなければなりません。
「法人でFXをはじめたはいいけど、どうやって仕訳すればいいの?」とお悩みの方に向けて、この記事ではFXの会計処理について、取引のステップごとにどのような勘定科目で仕訳をしていくかを解説します。
この記事を読むとわかること
- 法人でFX取引を行った場合の仕訳タイミングと仕訳内容
Contents
FX取引の流れ
法人口座の場合でも個人口座の場合でも、取引の流れや方法は基本的に同じであり、①証拠金を入金し②ポジションを持ち、③最後にポジションをクローズするという流れになります。
- FX口座へ証拠金を入金するす
- ポジションの発生
- 損益発生時(ポジションの保有中)
- 損益確定時(ポジションクローズ)
法人でFXを行った場合の申告上の注意点
法人口座で注意すべき点としては「時価評価」が必要となる点です。
個人口座でFX取引を行っている場合、確定申告時に申告が必要となるのは取引が終了(ポジションをクローズ)した取引のみであり、保有中のポジションに係る損益については申告が不要です。
一方、法人口座を使用している場合には、終了した取引に加え決算日時点で保有しているポジションに係る損益も法人の損益として申告する必要がある点に注意が必要です。
オススメFX口座
法人なら海外FX口座がおすすめ
個人のFX口座の場合、国内口座を使用したほうが税金上のメリットがありますが、法人には税制上の優遇はありません。
そのため高レバレッジで取引が可能で、国内業者ではあまり対応していないMT4も使える海外FX口座がおすすめです。
ちなみに私は円で口座が開設でき、日本語のサポートもしっかりしているTradeviewを使用しています。
法人用口座の開設はコチラ:Tradeview 法人口座開設ページ
個人用口座の開設はコチラ:Tradeview 個人口座開設ページ
FX取引の記帳のタイミングと頻度
法人口座でFXを行った場合に悩むのが、記帳(仕訳)をどのくらいの頻度で行うかだと思います。
最も短い期間であれば取引ごとに記帳をすることが可能ですし、申告のためだけであれば年に1回でも可能となります。
しかし、前者は手間がかかりすぎるし後者はいくら何でも少なすぎるかな、という気もします。
そこでこの記事では、月に一度のタイミングで記帳を行うことを前提に仕訳の説明を行っていきます。
FX口座へ証拠金時の会計処理
FX口座として使用する勘定科目は「預け金」を使用して補助科目に「○○FX」などのFX業者名にしてもいいですし、他の預け金項目と合算したくなければ、「外国為替差入証拠金」などの勘定を使用しても良いと思います。
取引前提:FX口座へ100を入金した際の会計処理
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
預け金 | 100 | 現金預金 | 100 |
ポジションの発生時の会計処理
証拠金を入金した後は、買いまたは売りで取引をすると思いますが、取引時には特段仕訳は行いません。
ポジションクローズ時の会計処理
ポジションをクローズをすると、ポジションがなくなり損益の額が確定します。
しかし、ここでは毎月末に一度だけ、FXに係る仕訳を記帳することを前提としているため、何も仕訳をする必要はありません。
月末(決算月以外)の会計処理
月末は一ヶ月間で確定した損益についてのみ、損益の総額で仕訳を記帳します。
保有中のポジションに係る確定前の損益については、決算月以外では無視して構いません。
損益がプラスの場合
取引前提:一ヶ月の確定損益の合計額が50の場合の会計処理
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
預け金 | 50 | 外国為替売買損益 | 50 |
損益がマイナスの場合
取引前提:一ヶ月の確定損益の合計額が▲50の場合の会計処理
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
外国為替売買損益 | 50 | 預け金 | 50 |
月末(決算月)の会計処理
決算月の会計処理は、①確定した損益に係る仕訳と②保有中のポジションの損益に係る仕訳の二つに分けて記帳します。
まず、①確定した損益に係る仕訳は「月末(決算月以外)の会計処理」で説明した内容と同じで、決算月に確定した損益の合計額で仕訳を記帳します。
そして、次に「②保有中のポジションの損益に係る仕訳」ですが、プラスの場合とマイナスの場合で以下のように記帳します。
保有中ポジションの損益がプラスの場合
取引前提:期末日において保有中ポジションの含み損益の合計額が30の場合の会計処理
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
預け金 | 30 | 外国為替売買損益 | 30 |
保有中ポジションの損益がマイナスの場合
取引前提:期末日において保有中ポジションの含み損益の合計額が▲30の場合の会計処理
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
外国為替売買損益 | 30 | 預け金 | 30 |
おわりに~翌期首の仕訳に注意
さいごに、翌期首には忘れずに「②保有中のポジションの損益に係る仕訳」で行った仕訳の反対仕訳を行ってください。
反対仕訳をしていないと、決算月の翌月末に損益確定の仕訳を行った際に、期末に保有中であったポジションの損益分が二重に計上されてしまうからです。
以上、法人口座を利用したFX取引の仕訳の流れとなります。
資金管理をしっかりと行い、皆様がしっかりと口座残高を増やしていくことを願っております。