税金

個人事業主は青色申告がいい?白色申告と比較したメリット・デメリット

個人事業主としてスタートしたばかりの方は、事業を軌道に乗せることを第一にしているはずなので、税金や申告のことを後回しにしている人も多いかもしれません。

また、青色申告という言葉は聞いたことあるけれど、簿記や難しいことはわからないから、とりあえず白色申告にしとこう、みたいな人もいるのではないでしょうか。

この記事ではそんな皆様に向けて、青色申告のハードルを下げるとともに、白色申告と比較してどのようなメリットとデメリットがあるのかを、具体的な数値例も交えながらお伝えしていこうと思います。

この記事を読むとわかること

  • 青色申告をするための条件
  • 青色申告と白色申告の違い
  • 青色申告のメリットとデメリット

白色申告と青色申告

個人事業主の所得税の確定申告には、白色申告と青色申告の2つの種類があります。

まずは、それぞれの申告時に添付する書類の違いを知りましょう。

白色申告とは

白色申告は、個人事業主にとって簡便的な申告方法となります。

事業を開始してから、青色申告へ変更するための申請手続きをしていない場合は、自動的に白色申告で確定申告を行うことになります。

白色申告の場合、確定申告書類の中に収支内訳書というものを添付します。

収支内訳書では、事業の収入金額をスタートにして費用をマイナスし、最終的な所得金額(利益金額)の計算を行います。

青色申告とは

青色申告は、白色申告と比較してしっかりとした会計処理を実施する申告方法となります。

しっかりとした会計処理とは、簿記(会計)のルールに沿って取引の記録が行われたもののことで、複式簿記とも呼ばれたりします。

複式簿記で取引を記録すれば、白色申告の場合と比較してより正確な事業の内容を申告することができますが、一方でその分多少の手間が増えます。

なので、青色申告には白色申告にはない、優遇措置(ご褒美)が複数用意されています。

また、青色申告では収支内訳書を添付しない代わりに、青色申告決算書というものを添付します。

青色申告決算書は、主に以下の二つの要素で構成されています。

  • 損益計算書:位置づけは収支内訳書と同じだが、より細かい情報も併せて申告する
  • 貸借対照表:白色申告の場合は作成しないもので、事業が持っている資産や外部からの負債の状況が記載される

青色申告をするための手続

青色申告をするためには、申請の手続きが必要となります。何も申請をしない場合、自動的に白色申告となってしまいため注意が必要です。

なお、申請は青色申告承認申請書を管轄の税務署へ提出するだけです。

なお、以下のように申請期限があるので注意が必要です。

  • すでに白色申告をしている場合:青色申告へ変更したい年の3月15日まで
  • 新規に開業した場合:新規に開業をした場合は、開業した日から2か月以内

以上のような申請期限があるため、前年の確定申告をした際や開業届を提出した際に、青色申告承認申請書も一緒に提出するのがよいでしょう。

青色申告のメリット

青色申告では正確な記帳を義務付ける代わりに、白色申告と比較して以下のような優遇制度を享受することができます。

  • 青色申告特別控除
  • 青色事業専従者給与
  • 欠損金を3年間繰り越すことができる
  • 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

青色申告特別控除

青色申告特別控除とは、不動産所得または事業所得から最大65万円を控除することができる制度です。

この制度の適用を受けるためには、複式簿記にて取引を記録し、青色決算書類を作成・提出する必要があります。

なお、以下の2つの条件を満たさない場合は、控除額は65万円から55万円へ引き下げられることになります。

  • 仕訳帳と総勘定元帳を電子帳簿で保存(要はPCで保存)していること
  • e-Taxを使用して申告をすること

また、青色決算書類を作成・提出しなかったり、現金主義で記帳を行っていると上記の金額の控除は受けられず、10万円の控除となってしまう点にご注意ください。

白色申告と比べてどのくらい節税になるの?
所得税率を20%、住民税率を10%、青色申告特別控除が65万円という前提とすれば、19.5万円(所得税13万円、住民税6.5万円)の節税になります。

青色事業専従者給与

個人事業を家族で営んでいる場合など、一緒に生活している配偶者や子供へ給与を払うこともあるかと思います。このような給与を、専従者給与といいます。

通常、一緒に生活している者への給与の支払いは家庭内のお金の移動とみなされ、経費とは認められません。

ですが、白色申告の場合は以下の金額を上限として、事業専従者控除として所得の金額から控除することが認められています。

  • 配偶者への専従者給与:上限86万
  • 配偶者以外への専従者給与:上限50万円

一方、青色申告の場合、青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書を事前に提出しておけば、白色申告のような制限がなく、所得から控除することができるのです。

なお、青色事業専従者として給与の支払を受けた方については、扶養控除を受けることができないため注意が必要です。

欠損金の繰り越し

青色申告では、赤字を3年まで繰り延べることができます。

白色申告の場合、赤字がでても翌年以降の申告には関係しませんが、青色申告では、赤字が出た年から3年以内に黒字が出た際に、その黒字と赤字を相殺することができるのです。

事業開始年度から黒字スタートし、その後も赤字になることがなければ関係ありませんが、事業はいつ何があるかわかりません。

万が一の場合に備えて、赤字の繰り越しができると助かることもあるはずです。

白色申告と比べてどのくらい節税になるの?

  • 所得税率を20%
  • 住民税率を10%
  • 繰越欠損金相殺前の事業所得の金額が1年目:▲100万円、2年目:50万円、3年目:50万円

白色申告の場合の課税所得(括弧内は税額)
 1年目:▲100万円(0万円)、2年目:50万円(15万円)、3年目:50万円(15万円)

青色申告の場合の課税所得(括弧内は税額)
 1年目:▲100万円(0万円)、2年目:0万円(0万円)、3年目:0万円(0万円)

この場合、30万円(所得税20万円、住民税10万円)の節税となっているのがわかりますね。

少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

取得価額が10万円以上、30万円未満の固定資産については、取得価額の合計額が300万円に達するまでは、その全額を購入した年の費用とすることができるという特例があります(少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)。

固定資産はこの特例を使用せずとも、耐用年数に亘り費用化されていくので、最終的には取得価額全体が税務上の費用となります。

ですが、この特例を使用することで1年目で全額を費用とすることができるので、単年で考えれば支払う税額を抑えることができます。

固定資産の費用処理については、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらもご参照ください。

パソコンは全額費用にできない?固定資産の償却方法を知って賢く節税!

青色申告のデメリット

青色申告をするためには複式簿記に基づいて仕訳を記帳し、損益計算書や貸借対照表を作成して申告をする必要があります。

逆をいうと、白色申告は複式簿記に基づく記帳を行う必要はなく、子供のころに作ったお小遣い帳のようなものに取引を記録し、それに基づいて申告書を作成しても問題ないのです(単式簿記と言ったりします)。

この記帳方法と提出する書類の違いが、青色申告のデメリットといえるでしょう。

簿記や会計がちんぷんかんぷんだと、青色申告はとてもハードルが高いように感じるかもしれませんが、意外とそうでもありません。

なぜなら、最近の個人事業主の方は白色申告であっても、MFクラウド確定申告やfreeeなどの会計ソフトを使用している方が大半だと思われ、このような会計ソフトを使用している場合、白色申告であっても複式簿記に基づいて記帳されていますし、貸借対照表や損益計算書も自動でレポート出力してくれる機能が備わっているはずだからです。

したがって、実質的な手間の部分はほとんど変わらないのです。

記帳方法と提出する書類の違いをデメリットとして挙げたものの、会計ソフトが身近な存在となり、素人でも感覚的に操作できる現在では、果たしてこれがデメリットなのかは微妙なところなのです。

おわりに

この記事では、青色申告のメリットとデメリットを白色申告と比較する形式で解説しました。

みなさまに青色申告の魅力が伝わるとともに、心理的ハードルが下がっていれば幸いです。

なお、簿記や会計が全くわからないという方は、複式簿記の仕訳と勘定科目などに慣れるため、簿記3級のテキストや基本的な会計本などを読んでみることをお勧めします。

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